氷上

時々なにか恐ろしいことが起きる予感に襲われることがある。大なり小なり、何かが成功したときだ。氷の上に立っていて、氷が「ピシッ」と音を立てたかのような緊張感。一歩でも動いたら足元が崩れ去る気がする。

そうなると私はしゃべらなくなる。目と耳に神経を集中させる。何か周りで変化がないかどうか。何か違和感はないか。

まあ、だいたい何も起きない。本当に恐ろしいことは予感も何もなく、いきなり家の電話、携帯電話からやってくるものだから。

これは心のなかにオオカミ少年がいるようなものなのかもしれない。嘘をつくつもりのないオオカミ少年。勘違いが多い。しかし無視するわけにもいかない。オオカミ少年の声色は真剣だ。酷く怯えている。

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